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広がる非課税贈与、相続税対策にうまく活用して節税するには?

近年、子供や孫への贈与の非課税規定が相次いで制定されました。

相続対策を考える上で、生前贈与は有効な手段の一つであり、何かと資金が必要な子供や孫の生活を援助することもできます。

相続税の基礎控除額が削減され、より一層の相続対策が必要となるこれからの時代、これらの非課税規定を利用した贈与をうまく活用しない手はありません。

今回は子供や孫へ教育資金を贈与した場合、結婚・子育て資金の贈与をした場合の非課税枠の活用の仕方、そして利用の注意点などについてお話しします。

[著]高垣 英紀

[監修]早瀬税理士事務所

1.教育資金贈与の非課税枠を利用する

●教育資金の非課税贈与の期限延長

子や孫へ教育資金を贈与した場合、1500万円まで非課税に出来る「教育資金の一括贈与」。

この制度は当初、平成27年12月31日までが期限でしたが、その注目度や利用度の高さから、期限が平成31年3月31日まで延長されました。

●贈与した人が死亡しても相続財産にはならない

教育資金の非課税贈与を受けた金額は、「生前贈与加算」の規定の適用を受けません。

「生前贈与加算」とは、相続等で財産を取得した人が、その相続開始前3年以内に被相続人から贈与により財産を取得していた場合の規定です。

その3年以内に贈与を受けた財産の価額は、相続税の課税価格に算入されてしまいます。

相続開始の直前に急いで贈与しても意味がないということです。

教育資金の非課税贈与の場合は、たとえその贈与後3年以内に相続が発生したとしても、その贈与した金額は、相続税の課税価格に含める必要はありません。

つまり、1500万円ものまとまったお金を一度に子供や孫に非課税で贈与することができ、生前贈与加算の適用も受けることがない、即効性の高い相続対策が可能です。

●教育資金贈与時の注意点

教育資金贈与の非課税の規定にはいくつか注意点があります。

A.贈与したお金の使い道が次のような「教育資金」に限られている

a.学校教育法に規定する学校等への支払の場合

・入学金、授業料、入園料、保育料など

・入学や入園のための検定料

・学用品の購入、修学旅行費、給食費など

・在学証明書などの費用

b.学校等以外への支払の場合(500万円まで)

・学習塾等の費用

・スイミングスクール、書道教室などの施設使用料、月謝など

・教育のために学校等が必要と認めたもの

・通学定期券代など

B.金融機関に領収書等を提出しなければならない

贈与を受けた資金を教育資金の支払に充てたことを証明するため、領収書等を金融機関に提出しなければなりません。

領収書については、記載事項が定められています。支払先の名称がない場合などは認められません。

教育資金を支払った際、領収書等の保管を確実にするよう心掛けてください。

なお、平成28年1月1日以降金融機関に提出する分(平成27年1月1日以降に支払った教育資金)については、次の要件を満たす場合、領収書に変えて明細書を提出することが認められるようになりました。

要件1 税込1万円以下の領収書であること

要件2 年間合計額が税込24万円以下であること

C.使い切ることが出来なかった場合に贈与税が課税される

贈与を受けた人が30歳までにその贈与を受けた資金を使い切ることができなかった場合、残額に贈与税が課税されてしまいます。

先程、非課税の枠は1500万円あるといいましたが、教育資金だけで1500万円使い切るのは難しい場合もあります。

教育資金が将来いくら必要なのか、しっかりとシミュレーションした上で贈与する必要があります。

2.結婚・子育て資金の贈与の非課税枠を利用する

●2015年度から「結婚・子育て資金」の贈与について新たに非課税枠ができた

2015年度から、新たに「結婚・子育て資金」の贈与の非課税枠が設けられ、新たに1000万円の非課税枠ができました。

●結婚・子育て資金の非課税贈与のしくみ

このあらたな贈与の非課税制度は、教育資金の非課税制度のしくみとよく似ています。制度の概要は以下の通りです。

A.対象となる贈与は平成27年4月1日から平成31年3月31日までの贈与

B・贈与を受けた資金は金融機関の専用口座で管理される

C.贈与の対象となる子や孫の年齢は20歳から49歳まで

D.贈与を受けた者が50歳になった時点で残額があれば贈与税が課税される

E.結婚・子育て資金の支払いを証明する領収書等を金融機関に提出しなければならない

F.贈与資金の使い道は、「結婚に際して支出した費用」と「妊娠、出産及び育児に要する費用」に限られます。

a. 結婚に際して支出した費用(300万円が限度)

・婚礼のために要する費用

・住居の家賃、敷金など

・転居するための費用

b. 妊娠、出産及び育児に要する費用

・不妊治療、妊娠中に要する費用

・出産に係る分娩費など

・幼稚園、保育所の保育料など

●結婚・子育て資金の贈与の注意点

「結婚・子育て資金の非課税贈与」は「教育資金の非課税贈与」と異なる点があります。

教育資金については、いったん非課税となったものについては相続税の課税対象となりません。

しかし、結婚・子育て資金の場合、贈与した人の相続開始時において贈与を受けた金額に残額がある場合、その残額が相続税の課税対象となってしまいます。

この点で教育資金の非課税贈与に比べ、相続対策としては少し活用しにくい制度となっています。

非課税の恩恵を十分に受けることが出来るようにするためには、「早めに計画的に贈与すること」が大切です。

3.まとめ

「教育資金の非課税贈与」と「結婚・子育て資金の非課税贈与」、2つの制度についてお話してきました。

それぞれの制度の仕組みや注意点を理解した上で、贈与税の基礎控除110万円を利用した暦年贈与などと上手く組み合わることにより、相続対策の有効な手段となるでしょう。

2つの制度とも、各金融機関から様々な商品が発売されていますので自分に合った商品を選ぶことも大切なポイントです。